マーケットレポート(2022年1-3月) - キャリアインキュベーション | ハイクラス・エグゼクティブの転職・求人情報
       

マーケットレポート(2022年1-3月)

CxOレポート

CxOマーケットレポート(2022年1-3月)

 

弊社では、CxO採用における豊富な支援経験に基づき、四半期ごとの採用動向を振り返る「CxOマーケットレポート」を今四半期より開始しました。日系大手企業、外資系大手企業、PEファンド投資先企業、ベンチャー企業について、弊社の各専門コンサルタントが日々採用を支援する中で得た知見を集約しています。CxOとしてキャリアアップをご検討されている候補者の皆様はもちろん、採用担当の皆様にも採用計画立案時のインプットに是非ご覧いただければ幸いです。

本レポートでは、2022年1- 3月のCxOマーケット状況についてご報告いたします。

今四半期は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に伴う地政学リスクの高まり、株価や為替のボラティリティ上昇、世界的なインフレの高進など、経済の先行き不透明感が高まった時期でもありました。しかし、CxO採用への影響はほとんどみられませんでした。

総評

2022年1-3月も、全体的に昨年からの高い採用意欲を維持しました。特に新年度の組織改編を控えた日系大手企業、資金調達の動きが活発なベンチャー企業において非常に高い採用意欲がみられました。PEファンド投資先企業は昨年と比較して一服した感がありますが、それでも引き続き高い水準です。経営者の求人が多かったのはミッド・スモールキャップファンドの投資先企業で、その他のラージキャップファンド投資先・日系大手企業・外資系大手企業・ベンチャー企業では部門長レベルの求人が中心となりました。部門長レベルの求人は、日系大手企業では事業部門系が中心、外資系大手企業・PEファンド投資先企業・ベンチャー企業では事業部門に加えて管理部門でも一定数の求人がありました。専門性としては、日系大手、外資系大手ともにサステナビリティ関連の求人が多くありました。

以下、日系大手企業、外資系大手企業、PEファンド投資先企業、ベンチャー企業について個別の動向をご説明いたします。

日系大手企業

採用意欲は堅調でした。
今四半期は新年度の組織改編に向けて新規の求人のご相談をいただいたり、過去にクローズしたポジションが再度オープンしたりと、時期的な要因もありました。特にご相談いただく機会が多かったのが事業部門の部門長レベルで、専門性としては新規事業、マーケティング、デジタル、サステナビリティ関連でした。日系企業では、課題感として特に「外部環境変化への対応」をあげる企業が多く見受けられました。サプライチェーンリスクなど国際的なリスクが高まるなかにおいて、グローバル本社として対応する場面が増えていると考えられます。今四半期は組織改編に向けた求人が多かったことによる来四半期以降の反動については、企業によって異なるため動向を注視していきたいと思います。

外資系大手企業

採用意欲は堅調でした。
外資系では日系のように新年度の組織改編の影響はありませんでしたが、リプレイスメントなどを要因として、事業部門・管理部門の部門長レベルのご相談を多くいただきました。特に、サステナビリティ関連のご相談を多くいただきました。比較的新しく、候補者の関心が強い分野ではあるものの、企業としてはシニア層では経験者を求める傾向にあり、マーケットにいる数少ない人材を取り合っているようです。サステナビリティ関連に限らず、外資系大手では一部の候補者にオファーが集中したり、現職からのカウンターオファーによる辞退も増加傾向にあり、採用に苦戦する企業も多いように見受けられます。

PEファンド投資先企業

採用意欲は高水準ではあるものの、採用意欲が非常に旺盛であった昨年からやや一服した印象です。
ラージキャップでは部門長レベルの求人が中心だった一方、ミッド・スモールキャップでは経営者、部門長レベルともに多くの求人がありました。昨年採用が非常に活発であった反動もあってか、「候補者の枯渇」を感じた企業も多かったように見受けられます。また、今四半期は、新規投資先だけではなく、既存投資先での追加採用の相談も多くいただきました。一般的にPEファンド投資先企業での採用というと、新規投資開始時をイメージされる方が多いと思いますが、実は100日プラン完了後も、運営方針の変更などに応じて新規ポジションをオープンしたり、リプレイスメントを行うケースも多々あります。昨年、一昨年とファンドによる投資が非常に多かったこともあり、今後もそうした既存投資先の採用が期待できます。また、今年もPEファンドは引き続き多くの新規投資を発表しており、新規投資開始時の採用も期待できます。

※主要PEファンドの投資については、弊社ホームページでご確認いただけます。
https://www.careerinq.com/private_equity/news/

ベンチャー企業

採用意欲は非常に高い水準でした。
ベンチャー企業では資金調達の状況が求人の動向に影響するように見受けられます。年初来の株価下落のためIPOを延期するケースはありましたが、ファンドやベンチャーキャピタルによる投資意欲は高く、資金調達への影響は限定的で、採用意欲にも影響はありませんでした。事業拡大やそれに伴う体制強化への意欲の高い企業が多く、部門長レベルを中心に非常に多くの求人のご相談をいただきました。特にCFOのニーズが強く、海外投資家と折衝する機会が多くなっているため英語の要件が高くなっています。業種としては、SaaS系などベンチャーキャピタルによる投資が活発な業種からのご相談が非常に多くなっています。また、今四半期に限らず最近の傾向ですが、ベンチャー企業の部門長クラス以上の年収は上昇傾向にあり、以前よりも採用市場における競争力が高まっています。スキル面に加えて、カルチャーフィットを重視する傾向にあります。


■代表コメント

今回の結果を受けて、弊社代表取締役社長の荒井裕之は次の通りコメントしています。

「まん延防止等重点措置の全面解除によりコロナ収束に向けて前進した一方で、経済の面では世界的に先行き不透明感が高まりました。CxO採用への影響は現在のところみられていませんが、今後ベンチャーキャピタルやPEファンドの投資方針(業種など)などに長期的に影響を及ぼす可能性があるため、引き続き動向を注視する必要があります。」

現在、CxO採用では希望する候補者像にフィットする人材が見つからず、素晴らしいポジションであるにも関わらず採用が難航している企業が多くなっています。特に、デジタルやサステナビリティなどの、新しい分野でありつつも企業の喫緊の課題でもある分野では、経験者がマーケットに少ないため、採用が難航しやすくなっています。弊社にはCxOポジションへの転職にご関心をお持ちの方に、求人の紹介だけではなく、直近動向などの情報も提供しています。今すぐに転職を考えているわけではなくても、ご関心がありましたら、是非一度ご相談をいただけますと幸いです。